ファーゴ　１９９６年（米）　フランセス・マクドーマンド
金に困った自動車ディーラーのジェリーは、妻を偽装誘拐し、義父から身代金を騙し取ろうと計画。
しかし彼が雇った二人の男は無軌道に犯罪を繰り返し、義父もうまく言う事を聞いてくれない。
どんどんと崩れていく犯罪計画。
事件を捜査する妊娠中の女性警官マージは、次第に事件の真相に肉薄し、そのやるせなさに悩むのだった。


中々秀作だと思います。見れば見るほど味があるというか…。
登場人物の造形や、彼らの運命が象徴的によく描かれてるんじゃないかと。
悪意の連鎖というか、些細な事が積み重なって事態が雪ダルマ式に悪い方向へ向かった展開に説得力があって哀しいです。

ただ難点を言えばシンプルすぎるというか、あまりにも淡々としていてぱっとしない事ですかね。
キャラクターはいいにしてもその中核となるのは誰かを考えたとき、犯人側か女刑事かどっちをメインに考えたらいいのか微妙で結果として中途半端なものになってるし。
寒々しい雪国の風景と合わせてあまりにも華がなく、少々物足りなく感じてしまうのも事実です。
まあそれが味といえば味なんだろうけど。

この中で一番個を保っていたのが、もはや人間性をかなぐり捨てたグリムスラッドだけだったと言うのは何ともいえません。
それに対して回りの人間達が弱すぎたのが…特に彼らを追いつめる人の暖かさや常識や秩序の代表となるべきマージが対抗しうるほどの個を持っていなかったように感じたのが残念です。



ＵＰ　２００５．３．１９



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