グレムリン　１９８４年（米）　ザック・ギャリガン
アルバイトをしながら将来を憂う平凡な青年ビリー。
彼へのプレゼントとして父親がチャイナタウンから買ってきたのは不思議な生き物モグワイだった。
“ギズモ”と名づけて生物をかわいがるビリーだったが、モグワイを飼う時に守れと言われていた「日光に当てないこと」「水に濡らさないこと」「夜１２時を過ぎたら食べ物を与えないこと」を破ってしまう。


グレムリンと言うのは第一次大戦中に囁かれた機械に悪戯する子悪魔の事で一種の妖怪。
戦闘機による戦争が一般化した時代背景の中で飛行機が故障するとこいつの仕業だとされた。

…などとエセ知識をまずは披露してみる（笑）。
そういう点でこの映画のグレムリンは微妙に意味が違うと思うんだけどな。


かわいいモグワイが醜悪なグレムリンになる二面性。
ほのぼのファンタジーな出だしから陰惨なホラーになる展開はなかなかに絶妙。
段々に規模が大きくなり、最後はパニックものの様相を示してくるところとか…よく考えられてるな〜と思います。

可愛く賢いという、いわゆる“お友達的クリーチャー”なギズモや、わざと戯画的にデフォルメされた特徴ある人物構成、特にキリスト教圏ではある種の奇跡の起きる日として描かれることの多い“クリスマス”という背景設定等にごまかされて、お祭り的なファンタジックなイメージが持たせられてるけど、これって決してお子様向けのかわいい映画じゃないですよね。

よくよく考えるとかなりグロテスクな場面が多いし、後半のグレムリン達の暴走は実にアメリカ的ブラックユーモア溢れる悪ノリ世界へと達していると思います。
なんつーかある程度年齢のいった子供が好んで見たがる（大人は見せたがらない）猟奇漫画のような印象を受けました。
３つの約束事とかはどこか道徳的で『猿の手』のような古きよき良質な怪異譚を思わせますが…。

あと気づいたけどヒロインの身の上話とかって都市伝説の一種だよな〜とか思ったり。
レンジといい、さりげにそういったモチーフを多用している気がするし（っていうかこの話自体そうだけど）…後半の悪ノリといいスタッフが思いっきり楽しんでやったのでは？と思えるものがあります。

今となってはぬいぐるみ丸出しで少々アラの目立つクリーチャーの造形も当時としては最先端（多分）。
逆に動きを完全には再現しきれないから、ある程度は想像で補わせようとする見せ方もいい方向に働いたんじゃないかと（たとえば壊れた通風孔を映し出してそこから逃げたように思わせるとか）…この辺は今見ても感心させられます。

難を言えばキャラクターの見た目か…。
私がこれを見たのは子供の頃ですが、正直当時からあまりギズモがかわいいとは思えなかったのでした（苦笑）。
つーか、どっちかと言うとストライプ（グレムリン時）の方が好きだったり（笑）。
登場人物も当時のアイドルといった感じで、妙に皆さん可愛らしい容姿をしているのが今見たら笑えました。

それにしてもコリー・フェルドマンこれにも出てるんだよな〜。この頃の映画見るとかなりの頻度で遭遇する。ホントいい子役だったのに…。



ＵＰ　２００３．３．３１



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