| グリーンマイル １９９９年（米）トム・ハンクス |
| 処刑室に続く緑の廊下、それはグリーンマイルと呼ばれていた。 看守長ポールが勤めるのは死刑囚専用の刑務所、そこにある日ジョン・コーフィーと名乗る大柄な黒人の男が収容されてくる。 凶悪なはずのこの男はしかし刑務所内で次々と不思議な力で奇跡を起こしていく。 最後の時を待つ死刑囚達と彼らを見守る看守達…そして最後までジョンを見守ったポールが辿り着いた奇跡とは。 スティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督と『ショーシャンク』の黄金コンビ復活作品。 原作は各月発行の６冊分冊という珍しい出版のされ方をした。 完成度は非常に高いと思うのです。 フランク・ダラボンはキング世界を色濃く残したまま一般人にもウケるような叙情的な作品に仕上げるのがうまいと前回思ったんだけれども、今回も例に漏れず、あの独特の空気を残しつつも綺麗な作品に仕上がっていると思いました。 ただちょっと綺麗過ぎるのが難点といえば難点かもしれません。 視覚的にもそうですけど、看守たちと死刑囚達の穏やかで優しい心の交流とか、あまりにも綺麗過ぎてちょっと現実離れしすぎてた感があったようにも思います（この辺は死刑制度や罪と罰、そして償いというものに対する考え方の違いもあると思うけど…でも冤罪はもっての他だな。コーフィーは特殊な例だけど）。 そういった点や、正直今回はオチ含むストーリーが微妙に厳しい系だと思うので私的にはイマイチ。 厳しい世界と視点の中で現実の希望を見出した『ショーシャンク』と違って、今回は視点があくまで優しく切ない中で容赦ない冷たい現実が最後に全てを覆ってしまったような気がするのです（これは解釈の仕方によって相違がありそうですが）。 あと役者もちょっと…トム・ハンクスはいい役者だと思うんだけど、公開当時はまだ『フォレスト・ガンプ』のイメージが強かったので、微妙に冷静で穏やかな人格者の看守長という役柄にミスマッチな感じがしてしまって、あんまり感情移入が出来なかったのも楽しめなかった一因かも（苦笑）。 それ以外ではマイケル・クラーク・ダンカンはドンピシャだし、ブルータルがとってもいい男で私好みでナイスでした（笑）。 パーシーも役柄はアレですけれども、役者的にはぴったりで私は結構お気に入りです。 でも一番いい役者はミスター・ジングルスかな（笑）。 一番好きなシーンは所長の奥さんを救うためにこっそり刑務所を抜け出し、蛍の飛び交う夜の道を歩くコーフィーと看守達のところです。 あれはどこまでもロマンチックで優しいシーンでした。 結局のところ、ひたすら綺麗で、どこまでも悲しい映画だったと思います。 ストーリに対するもうちょっと細かいツッコミも入れようと思ったんですけど、それは小説のページで……いつになるかはわかりませんが（苦笑）。 |